こんにちは、クリエイティブラボのイシイです。

2017年より、体験を通じて未来のクリエイターを育てるワークショップ「FUTURE FACTORY」という活動を続けていますが、去る2018/9/8(土)に、「FUTURE FACTORY」の第7回目の活動としてのキッズワークショップを開催しました。

第6回目まで実施していた「日用品を使ってオリジナルのモンスターを作ろう」からワークショップの中身を変え、今回のワークショップでは今までとは異なるワークショップに挑戦することにし、内容やコンセプトをみんなで考えたりして臨んだ、まさにみんなで作ったワークショップでした。

「体験を通じて未来のクリエイターを育てる」ってなんだろう

新しいワークショップを考えていく上で、一番初めにしたことは、この「FUTURE FACTORY」の活動コンセプトである「体験を通じて未来のクリエイターを育てるワークショップ」という言葉の再定義でした。

「体験を通じて未来のクリエイターを育てるワークショップ」というのは、なんとなくわかるようでイマイチつかみどころがなく、輪郭がやや見えづらい。そのため、このコンセプト基軸からズレないように新しいワークショップを考えるには、まずはこのコンセプトを噛み砕いて理解を深め、参加者全員の認識を合わせる必要がありました。

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体験

DIY(Do It Yourself)を通じて手を動かしながら、プロトタイピング思考・制作手法の習得、ものづくりへのハードルを下げる

「まずやってみようという意志を持てるようになること」「つくるときの技法・手法・道具の使い方を覚えること」「つくってみることへの心理的なハードルを下げること」につながるように、工作などで手を動かしながら実際にものづくりを行なう場とする。

未来

ワークショップにおける未来はオープンエンドであり、短期指標では見ず、即時効果は求めない

「翌日にはこうなっている、3日後にはこうなっているワークショップ」といった短期での成果指標は取り入れず、長い目で見た時に、このワークショップに参加したことがどこかの時点での変化のキッカケとなっていること、を目指す。

クリエイター

自らの手を動かし、自らの考えを、自らの表現手法を用いて、アウトプットできる人のこと

作り込みの精度などは問わず、工作、絵、プログラミング、どんな手法であれ、自分ができる表現方法を用いて、主体的に自分のアイデアや思いを形にできる人、形にしようとする人のことを指す。

育てる

テクノロジーを組み合わせた体験を通じて、モノの捉え方・感じ方が変わる(感性や感覚を養う)キッカケを創る

変わりゆく社会環境において、テクノロジーを活用する側の人となるべく、自分を取り巻くテクノロジーに触れながら、「気づかなかったことに気づくようになる」「今までと違った視点を持つようになる」といった変化につながるような機会とする。

「体験を通じて未来のクリエイターを育てるワークショップ」とは

こうして分解した要素から再構築を行い、「体験を通じて未来のクリエイターを育てるワークショップ」とは

手を動かしながらものづくりを行う体験の中に感性や感覚がアップデートされるキッカケを創り、磨かれた感性や感覚を活かした発想や思考をクリエイティブを通じて体現できる人材を育てていく活動

とし、これからあたらしく作り上げるワークショップについても、この基軸からズレないものとなっているか照らし合わせながら内容を決めていくようにしました。

新テーマ「あたらしいあそびを作ってみよう」

今回のワークショップに向けて、まずは再構築したコンセプトの共有からオリエンを始め、今一度「FUTURE FACTORY」の活動趣旨を見直した上で、ワークショップのアイデアを参加スタッフ全員から募集しました。最終的に「あたらしいあそびを作ってみよう」というアイデアで進めていくことにし、ワークショップの中身のラフを起こします。

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「FUTURE FACTORY」の活動に何度も参加してくれている心強いメンバーと共に、このラフの概要をベースにディスカッションを踏まえてブラッシュアップをしていき、「どういったヴィジョンを持って」「どういった内容で」「どういったねらいを持って行なうか」を決め、おおまかなワークショップの中身を作り上げました。

ヴィジョンとワークショップの位置づけ

『近年、公園で子供たち「だけ」でワイワイ走り回りながら遊んでいる姿をあまり見ない気がします。「ボール遊び禁止」「大声禁止」など、公園における禁止事項が増えていることや、テクノロジーの進化に伴うゲームの普及など、様々な理由があるとは思います。社会環境が変わっていくことは当たり前のことだとは思いますが、ワイワイ走り回りながらよく意味のわからないめちゃくちゃな遊びをしていた世代としては、そういった姿がなくなっていくのは少しさびしくもあります。

社会環境が変わっていく中で、そもそも従来の遊びが消えていくのであれば、その遊び自身も変わっていけば良いのではないか。テクノロジーが普及してきた時代であれば、テクノロジーを踏襲した新しいカラダを使った遊びや、テクノロジーが使える新しい遊び場があればいいのではないか。

従来の公園に変わるようなクリエイティブスペースがあり、そこにはバットやボールと同等の位置にちょっとしたコンピュータやセンサーがあり、自分たちで遊びを考え、遊びを体験し、そこでまたあたらしい遊びが生まれるようなスペースがあれば、子供たちは集い、ワイワイと遊びまわることができ、時代にあった空間が作れるのではないか。

そのための第一歩として、あそびをつくり、作ったあそびを体験し、楽しむという行為をワークショップという小さなところから始めてみよう。』

内容

『グループに分かれてオリジナルのあそびを作ってみる。あそびは完全にオリジナルのものでも既存のあそびのハックでも構わない。オリジナルのあそびを実現するために、SONYのIoTセンサーデバイス「MESH™」を活用。デバイスとあそびの連携には、ビジュアルプログラミングによるアプリケーションを使用。デバイスには「明るさ検知」「人感検知」「動きや向きの検知」といった様々なセンサーが内蔵されており、これらの機能を使った現代のあそびを再構築してみる。』

ねらい

『テクノロジーリテラシーのアップデート。社会性の構築。グループになって様々なセンサーを使ったあたらしいあそびを考え、工作を通じてあそび道具を作り、作ったあそびを体験する中でクリエイティビティを養い、あそびとして成立するための適度なさじ加減となるルール作りの難しさからみんなが平等に楽しくあそべるためにはどうするか等の社会性を学び、みんなで考える・改善する・あそぶの各工程から、人が集まる意義を感じ取ってもらう。また、思考と現実のギャップからトライ&エラーで克服していくプロトタイピング思考を体現する。』

ワークショップを作るためのワークショップ

ワークショップの概要や実施内容などはこれで練り上げられましたが、ここからワークショップの事前準備や当日に向けてのスタッフの動き出しを始めるにあたっては、

  • 工作をするにあたって、どういった資材や工具・文具を準備するのが適切なのか
  • ワークショップ会場を装飾するにあたって、どんなイメージを持って装飾物を作っていけば良いのか
  • 子供たちが当日に作り上げるあそびのイメージをつかんでもらうために、どのような体験デモを用意すれば良いのか
  • あそびづくりのフェーズに入っていくまでに、どんな流れのプログラムを組めばスムーズに入れるのか
  • グループでアイデアを出し、あそび道具を工作して作り、実際にあそべるまでにどれくらいの時間が必要なのか
  • アイデアの引き出しやまとめ、実際に手を動かすところまでの落とし込みをどのようにファシリテートすれば良いのか
  • あそびをつくってみるということがスタッフも子供たちもワクワクしながら楽しめるものなのか

などなど、まだ輪郭がぼやけている部分があったり、初のグループワーク形式に向けての不安などがありました。

今回のワークショップはみんなで作り上げて行くものであり、こうした輪郭のぼやけや手探りで進めていく不安に対して必要なことは、座学的な学習知ではなく、スタッフ自身の「体験知」と「スタッフ全員ができるだけ共通の認識を持ち、一体感を持って同じゴールを目指すこと」であると考え、「あたらしいワークショップをつくるためのワークショップ」を社内で実施することにしました。

この「ワークショップをつくるためのワークショップ」は3部で構成し、平日業務時間後の4時間という長時間のタイムテーブルにもかかわらず、およそ9割ものスタッフが参加してくれました。

ワークショップの世界観作り

第一部は「あたらしいあそびをつくっている姿、あそんでいる姿、どんなあそび場になっているのか」など、参加者全員が描くイメージを共通化させるイメージボードの作成を行ったり、このあたらしいあそび場に名前をつけるなど、今回のワークショップの世界観づくりです。ここで作った世界観がワークショップの全体イメージとなり、会場の装飾やスライド資料デザインへと落とし込まれていきます。

このあたらしいあそび場の名称は、今回初参加の新卒のスタッフが出してくれた「オンリーワンダーランド」に決まり、ワークショップのテーマ名称としては「オンリーワンダーランドであたらしいあそびを作ろう」となりました。

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プレワークショップ

第二部はワークショッププログラムで実施するグループワークをみんなで実践してみるプレワークショップです。あたらしいあそびをつくる工作資材として、ダンボールや画用紙程度のもののみを用意し、必要な文房具などを取り揃えて臨みます。また、グループワークに向けて用意したホワイトボードを使ってみたりしながら、アイデアのまとめ、作業への落とし込みなどのファシリテートの練習の場でもあります。

ワークショップ当日のように子供たちはいませんが、プレ実践をしながら「この資材で成り立たせられるか」「文房具はどこまであれば適切か」や、当日の時間としてどれくらいが必要なのかの評価を行いました。また、何より大事なこととして、スタッフ自身がこの「あたらしいあそびをつくる」ということに楽しめるのか、を体験する場となりました。

ファシリテーションQ&A

第三部はリフレクションです。振り返りを行いながらこのワークショップを通じて生まれた問いや感じたことを共有したり、この「ワークショップを作るためのワークショップ」の中にどんな意図を込めていたのかを開示したり、当日に向けてのQAの時間を設けたりと、クールダウンしながらゆっくりと落とし込みをしていきます。

どういうところが楽しかったのか、自分が何に対して不安を感じているのか、どういう思いを感じたのかなどの思いの共有を図ることで、さらに見えていなかったことに気づいたり、他の人がどのように取り組んでいるのかなどを知れる場となりました。

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「ワークショップを作るためのワークショップ」を終えて

このワークショップでは、短い時間で分刻みで次から次へと進めていくものであったため、大変でもあり新鮮でもあり、楽しくもあったという意見が多くありました。

結果として改善点などが色々見えてきたこともありますが、「あそびをつくってみること」に参加スタッフが夢中になり、ワクワクしながら臨み、「難しいところもあるけれど、きっと楽しめるワークショップになる」と思えたことがとても大きく、「ワークショップを作るためのワークショップ」を経て、みんなで同じゴールが見えてきたことにより一体感も増し、今回のあたらしいワークショップ「オンリーワンダーランドであたらしいあそびを作ろう」への準備は飛躍的に加速したと思います。

「オンリーワンダーランドであたらしいあそびを作ろう」

こうしてみんなで作り上げたワークショップの当日の映像がこちらです。

今回参加してくれたスタッフは新卒メンバー6名を含む21名で、全社比率の1割強。今までのこの活動に参加してくれたスタッフも総数40名に迫る勢いで、業務の合間に時間を割きながら、夜遅い時間までかかってしまうこともある準備や、週末開催にもかかわらずかけつけてくれている多くのスタッフに支えられています。これは本当に素晴らしいことで、本当に自慢できることだと思っています。

新しいテーマの初回ということもあり、もちろん改善すべき点はたくさんありますが、次も頑張ろうと思えるいいワークショップとなり、今までとはまた違ったワークショップとして、これからもみんなで作り上げていけたらと思っています。