2015.09.25

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アートハッカソンにて審査員特別賞を受賞しました

こんにちは。アートはさっぱりなイシイです。ここ最近、色々な業種とのハッカソンイベントが盛んになっていますが、今回は8/22(土)・9/5(土)・9/6(日)の3日間に渡って開催されたArt Hack Dayというアートハッカソンに参加してきました。

Art Hack Dayとは

参加応募者から選出されたアーティスト、エンジニア、プランナー、デザイナーなどが一堂に会し、即興的にチームを組んでアート作品を制作するというアートに特化したハッカソンで、2014年に続き、今年は第2回の開催となります。今年は約60名程のメンバーが選ばれたようで、エンジニア5割、アーティスト3割、プランナーやデザイナーなどの他枠が2割程度の内訳だったようです。選出にあたっては応募のポートフォリオや活動実績、職種などを踏まえ、バランスよくなるように選出しているとのことでした。 

8/22(土) アイデアソン&チームビルディング

初日のこの日は、アイデアソン&チームビルディングです。午前中は、現代の魔法使いこと落合陽一さんと美術手帖編集長の岩渕貞哉さんによるインスピレーショントークが行われました。午後からは、何度も何度もメンバーを入れ替えてのグループディスカッションを行った後、アイデアピッチを実施。一緒に作品を作ってみたいメンバーの元に参加表明を行っていき、コミットメントされた人数による振るい落とし形式にて、最終的に全12チームが結成されました。

8/23(日)〜9/4(金) コンセプト決め&制作準備期間

アイデアソンにて、アイデアの骨子からチームは結成されましたが、ここから再度アイデアの推敲とコンセプト決め、制作物のフィジビリティ調査、部品調達などの期間になります。僕らのチームは週明け月曜日の朝7時から渋谷でアイデアディスカッションを開始。同じチームのアーティストの方が長野から参加していたこともあり、この期間はアーティストの方が深夜バスで東京に出てきたり、週末に東京組が長野に訪問したりしつつ、SkypeやFacebookグループにてディスカッションを進め、第2週の火曜日にようやくコンセプトの骨子が決まりました。そこからは作品物の部品調達や、プロトタイプ制作によるフィジビリティチェックなどを進めていきました。  

9/5(土)〜6(日) 実装&展示準備

ハッカソン2日目、3日目です。実制作を行いながら展示の準備も進めていきます。開始は9/5 9:00〜で、制作物の審査が9/6 16:00〜行われるため、実質約1日半での実制作になります。会場から秋葉原が近いため、足りないものが出たらすぐに買いに行って組み上げたり、突貫で用意した図面をレーザーカッターで切ったりしながら制作物を作っていきました。 9/5はいったん22時で打ち切りになりますが、制作が終わらないチームは夜通し作業を進めていて、ご多分に漏れず、僕らのチームも夜通し作業。帰れる人はいったん一時帰宅しますが、エンジニア部隊はひたすら作業を進めます。結局全12チーム中、11チームが誰かしら作業を進めていました。思うように制作が進まなかったり、想定と実際の現場での環境差異による思わぬ落とし穴があったりで、制作しながらプランAからプランBに、プランBからプランCへとどんどん変化していき、とにかくまずは完成させよう、ということに集中していきました。 審査が始まってからは、審査員の方々と一緒にみんなで順番にチーム毎の作品発表を見て回っていきます。発表に向けてしっかりと仕上がったチーム、まだバグが取りきれずに未完の状態で発表するチームと様々でしたが、どのチームもよく1日半で制作したなと思うものばかりでした。審査に向けての発表後は互いの労をねぎらいながらの懇親会を行い、審査結果の発表も行われました。

9/7(月) 展示調整日

怒涛のハッカソンが終了し、この日は翌日からの展示に向けての準備作業です。まだ未完だった部分を対応したり、展示に向けて見栄えの調整を行ったりしました。

9/8(火)〜9/13(日) アーツ千代田3331での展示

アーツ千代田3331のメインギャラリーにて、制作物の展示が行われました。期間中も日々各チームがアップデート作業を続けていきます。ギャラリー営業時間の12:00〜19:00は作業ができないため、ギャラリー営業開始前の10:00〜12:00と、ギャラリー営業終了後の19:00〜21:00の時間を使って作業を行っていました。9/13(日)の19:00に無事展示期間も終わり、搬出作業を行って、本イベントは終了しました。

コンセプト「頭のない口は言葉をしゃべらない」

今回の作品づくりにあたって、僕らのチームの作品コンセプトは最終的にこのような形になりました。

「聞く耳を持たない口は好きなことを喋り続け、頭のない口は言葉をしゃべらず、聞くことしかできない耳は自由に飛び回り、暇な鼻は遊びはじめ、目のために閉じなくてよくなった瞼は拍手を送る。」

人の顔についている器官を切り離し、それぞれの特徴や機能のみに着目し、本来の目的からはずれた役目を与えることで、それぞれの存在を再定義する試みです。また、経済活動を基本に据えた生活や社会によって醸成された「人間らしさ」を満たすために命じられた「本来の目的」自体を疑問視し、そもそも生産性のある生活の為であれば無駄とされる行為も、器官は行うことができることを作品で表現しました。子供の無意味な遊びのような行為やおとぎ話のようなシナリオを用いて作り出すこの作品の世界観を通して、我々が無意識の間に当然のものとして受け入れている日々の生産性や人間らしさ、目的を重視する価値観に疑問を投げかけます。

自由になった器官が各々自由に振り舞うことで、全体としてはカオスが展開されます。カオスとなって投げかけられた疑問に対し、鑑賞者がどのような価値や課題を発見するのか。それぞれの印象やリアクションが自由に発生することで、全体としての作品の価値となっていくことを期待しています。

コンセプト映像

9/8〜9/13の約1週間、アーツ千代田3331のメインギャラリーにて、参加チームの作品が展示されました。そのときの僕らのチームの展示物をコンセプト映像としてまとめておきました。

本作品はアートに特化したハッカソン「3331α Art Hack Day」において2日間にて即興的に制作され、中村政人賞(審査員特別賞)を受賞しました。

他大賞作品の紹介

サービス・プロダクト部門賞「Sound of Tap Board」はこちらで、最優秀賞のアート部門賞「運命的アクシデント」はこちらで観ることができます。どちらもこの短期間で仕上げたとは思えないような驚きの作品です。

掲載メディア

Art Hack Dayの様子は、いくつかのメディアでレポートがあがっていますので、詳細や雰囲気はこちらでも知ることができます。

また、2015/9/26(土) 26:35〜27:05(予定)の日テレ「SENSORS」でも、ハッカソンに参加されていた池澤あやかさんへの密着という形で番組放映されるようですので、こちらでもハッカソンの様子が観れると思います。

Art Hack Dayを終えて

多くのチームで「いいメンバーと巡りあえて作品づくりができた」と言っていたように、今回のハッカソンではそのプロセス自体も大変興味深いものでした。ハッカソン終了後も同じメンバーで別の展示などに応募するチーム、未完成だった作品を作り上げて別の場で発表を進めているチームなど、ハッカソンが終わった後も活動し続けているチームがいくつもあります。Art Hack Dayを終えて感じたこと。それはSENSORSのインタビュー内での青木竜太さんの言葉ですが、

「新しいものを作る時は、関係性をどれだけ構築出来るかが重要」

この言葉にすべてが集約されていると思います。

これから

審査員特別賞の副賞として、僕らのチームは3331アーツ千代田統括ディレクターの中村政人さんより、アーツ千代田ギャラリーでの個展出展の権利をいただけたので、これからまたチームメンバーと共に、個展に向けて活動を開始します。開催内容・時期についてはこれから決めていくところで、再度企画・提案から進めていくのですが、その様子についても別エントリーにて紹介していければと思っています。

この記事を書いた人 :
イシイ

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