Blackmagic Design社

 オーストラリアの映像機器メーカー、Blackmagic Designは、高性能な業務用映像機器を極めて安い価格で提供している新進のメーカーです。テレビ局や映画撮影向けの業務用機器以外にも、消費者が購入しやすい価格帯で、尖った特徴が売りの様々な製品を提供しています。

 RAWデータ記録により、通常より極端に広いダイナミックレンジで撮影できる、すなわち、明るさや色のレベル差が大きい映像をそのまま記録し映像編集で最適な色調を追求できるBlackmagic Pocket Cinema Camera、 コンパクトでLAN接続したPC上のソフトウェアから制御できるHDMI信号スイッチャー ATEM Television Studio、5インチのフルHD液晶モニターを通してHDMI映像をモニタリングし、さらにProRes 422 HQという画質劣化の少ないコーデックでSDカード録画できるBlackmagic Video Assist、緻密な色彩調整が可能で、無償版もある映像編集ツールDavinci Resolveなどがあります。

 とにかく液晶がいっぱいついた変形ロボットのような4.6KシネマカメラBlackmagic URSAは男性の子供心をくすぐりますし、ライブイベント来場者に映像コンテンツを即販売したいが4Kコンテンツとなると光ディスクでは間に合わない、そもそもBD-Rには4Kフォーマット一般的ではないのでPCで見ることになる、ならばSDカードにリアルタイム複製するといい、という Blackmagic Duplicator 4Kなど、市場性があるのか謎な攻めた商品も発売する大変熱いメーカーです。

UltraStudio Mini Recorder

  映像信号をPC/Macに取り込むためのキャプチャー製品の一つに、UltraStudio Mini Recorderがあります。HDMIもしくはSDIのディジタル映像信号を、Thunderboltポート経由でPC/Macにとりこむ機能があり、実売2万円程度と低価格で持ち運びに便利な小さな製品です。

Mini Recorder

 UltraStudio Mini Recorderは本来は録画・編集した他の映像機器のディジタル映像出力をPCに入力し録画するための装置なのですが、アプリケーションを開発するためのSDKがあるため、ソフトウェアを開発することでリアルタイム映像解析に使うこともできます。

 システム作家ひつじ氏の知見によると、映像をシステムへの入力とするインタラクティブなシステムを構成する場合、手軽さからUSB接続カメラ(Webカメラ)を使用することが多いのですが、HDMIキャプチャー装置を使用すれば、大きなレンズを備えたミラーレスカメラや一眼レフカメラを入力装置に選択でき、明るさや被写界深度を調整する精度をUSB接続カメラでは望めないレベルまで高めることができるとのことです。

UltraStudioの製品群には4KのHDMIをキャプチャできるUltraStudio Thunderbolt 4Kもあり、こちらを使用すると可視光の状況として現れている現実の世界を、一眼レフの精細さでさらに詳細に捉えることができるようになります。  

miniDisplay

 最近、Raspberry Piやスティック型のPCなど、小さく、安価で、HDMI出力を備えたコンピューターが、電子工作を用いた新しいアプリケーション開発や、単純な映像を出せばよい埋め込み装置の分野で広まっています。こうした小さなコンピューターは、通常はディスプレイを外付けで用意する必要があります。一般的な外付けディスプレイには大きいものが多く、持ち運びには不便です。持ち運びを重視した小さなディスプレイもありますが4万円程度と若干価格が高くなってきます。

 そこで、小さなコンピューターの画面を、UltraStudio Mini Recorderを通じてMacの画面に表示するアプリケーション、miniDisplayを開発してみました。openFrameworksを使用しています。ソースコードは https://github.com/MorimasaAketa/miniDisplayにて公開しています。すぐに実行できる.app形式のアプリケーションはこちらからダウンロードできます。

miniDisplayはシンプルなアプリケーションです。一般的なHDMI入力 720pと1080iの信号を、そのままウィンドウ内に表示します。PCの画面だけではなく、HDMI出力のあるカメラや スマートフォンの映像も表示することができます。

miniDisplay スクリーンショット

 現在、映像出力はHDMIのみになっていて、アナログRGB信号を出せない装置が一般的です。UltraStudio Mini RecorderとminiDisplayを使用すれば、こうしたHDMI装置の映像出力を、MacのアナログRGB変換を通してアナログRGBしか入力がないプロジェクター環境に映し出すことができます。

 ぼくはiOS装置の画面をRGB入力のプロジェクターに投影する機会が多くあります。そのような時、iOS装置のLightning->HDMI変換アダプターを使用してMini Recorder / miniDisplay経由でMac上に表示し、MacからRGBプロジェクターに投影しています。iOSの画面をMacの画面のウィンドウとして表示でき、個人的には大変便利に感じています。

USBリンクケーブルを使えば外付けキーボードも要らない

 UltraStudio Mini Recorder と miniDisplayを使えば、モニターのないコンピューターを使用する際にMacをモニター代わりにできますが、操作するためのマウス・キーボードは別途接続する必要があり、持ち運ぶ際に嵩張り、個人的には持ち歩きたくありません。

 しかし、USBリンクケーブルを使えば、キーボードを持ち運ぶ必要もなくなります。たとえば以下の製品をご紹介します。

SANWA SUPPLY ドラッグ&ドロップ対応USB3.0リンクケーブルKB-USB-LINK4

 2台のPCのUSBポートを直結してデータ転送を実現するUSBリンクケーブルには、片方のPCのキーボード・マウスでもう一方のPCの操作をする機能がついているものがあります。この機能を使用すれば、他のコンピューターの画面を映しているMacのキーボードを、そのまま該当コンピューターのUSBキーボードとして使用することができるのです。

ディスプレイのないコンピューターを手軽に操作

 外出先で重い作業をする人は、性能と機能のバランスからMacBook Pro Retinaを選択していることが多い印象があります。MacBook Pro Retinaは15インチであれば2880x1800と画面のピクセル数が多いため、UltraStudio Mini RecorderとminiDisplay、そしてUSBリンクケーブルを使用すれば、モニターとキーボードを持ち歩くことなく、小さなコンピューターの使用・設定が可能になります。Raspberry Piを設置したりスティックPCの画面をRGBプロジェクターに投影しなければならない場合に、UltraStudio Mini RecorderとminiDisplayを使用すると、すこし便利です。

リンク

謝辞

 miniDisplayはKyle McDonaldさんが開発したofxBlackmagicをそのまま使用しています。Kyle McDonaldさんに感謝いたします。